SaaS・PaaS・IaaSの違いを図解で比較|AWS/Azure/GCP具体例と失敗しない選び方3ステップ
「結局SaaSとPaaSとIaaSは何が違うのか」「Salesforceはどれ?」を、住宅例え・責任共有モデル図解・AWS/Azure/GCPの代表サービス早見表で一気に整理。さらに開発リソース・カスタマイズ要件・コストの3軸で自社に最適なクラウドモデルを選ぶ3ステップまで、初学者と情シス担当者の両方が即決できるレベルでまとめました。

SaaS・PaaS・IaaSの違いは、 事業者がどこまでシステムを提供・管理するか という「提供範囲」にあります。すぐ使いたいなら SaaS (例:Salesforce、Google Workspace)、開発に集中したいなら PaaS (例:AWS Elastic Beanstalk、Google App Engine)、ネットワークから自由に構築したいなら IaaS (例:AWS EC2、Microsoft Azure VM)が適切な選択肢です。
本記事では、3つのモデルの違いを「住宅の例え」「責任共有モデルの図解」「AWS/Azure/GCPの代表サービス早見表」で直感的に整理し、最後に 開発リソース・カスタマイズ要件・コスト の3軸で失敗しない選び方を3ステップで解説します。
- 3モデルの定義と読み方を1分で把握できる
- AWS/Azure/GCPのどのサービスがどれに当たるか分かる
- 自社に最適なモデルを3ステップで決定できる
SaaS・PaaS・IaaSの違いを一言で:住宅で例える3モデル

SaaS・PaaS・IaaSの違いを最短で理解するには、 「住宅の完成度」 で例えるのが分かりやすいです。
- SaaS(Software as a Service) = 家具付きの完成住宅 。買ってすぐ住める代わりに、間取りや内装は変えにくい。
- PaaS(Platform as a Service) = 基礎と柱まで完成した注文住宅 。アプリ(内装)の自由度は高いが、土台は事業者が管理する。
- IaaS(Infrastructure as a Service) = 更地の土地 。OSから自由に建てられる代わりに、運用負荷も自分持ち。
それぞれの正式名称・読み方・基本定義を表で整理します。
| モデル | 正式名称 | 読み方 | 提供範囲 | 一言で言うと |
|---|---|---|---|---|
| SaaS | Software as a Service | サース/サーズ | アプリケーションまで一式 | 完成したソフトを使う |
| PaaS | Platform as a Service | パース | OS・ミドルウェアまで | アプリ開発の土台を借りる |
| IaaS | Infrastructure as a Service | イアース/アイアース | サーバー・ストレージ・ネットワーク | インフラだけを借りる |
3モデルの基礎が曖昧な方は、まず SaaSとは?正しい意味や読み方から導入メリットまで初心者向けに徹底解説 で「SaaS」の定義を押さえると、PaaS・IaaSとの違いも整理しやすくなります。
責任共有モデル:SaaS・PaaS・IaaSの管理範囲を図解で比較

SaaS・PaaS・IaaSの違いを正確に理解する最大の鍵は、 「責任共有モデル(Shared Responsibility Model)」 です。これはAWS・Microsoft Azure・Google Cloudが公式に採用している考え方で、クラウド事業者と利用者がどの層を管理するかを明確に分けます。
システムを「データ/アプリケーション/ランタイム/ミドルウェア/OS/仮想化/サーバー/ストレージ/ネットワーク」の9層に分け、各モデルでの管理責任を整理すると以下の通りです。
| 管理対象レイヤー | オンプレ | IaaS | PaaS | SaaS |
|---|---|---|---|---|
| データ | 利用者 | 利用者 | 利用者 | 利用者 |
| アプリケーション | 利用者 | 利用者 | 利用者 | 事業者 |
| ランタイム | 利用者 | 利用者 | 事業者 | 事業者 |
| ミドルウェア | 利用者 | 利用者 | 事業者 | 事業者 |
| OS | 利用者 | 利用者 | 事業者 | 事業者 |
| 仮想化 | 利用者 | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
| サーバー | 利用者 | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
| ストレージ | 利用者 | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
| ネットワーク | 利用者 | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
ポイントは、 SaaSでも「データとアカウント権限」は必ず利用者責任 であることです。「クラウドだから安全」という認識は誤りで、SaaSでもID・パスワード管理や保存データの取り扱いは自社で守る必要があります。
IaaSではOSのパッチ適用やミドルウェアのバージョン管理まで自社で行うため、クラウドエンジニアやSREの体制が不可欠です。PaaSはその中間で、アプリケーションコードとデータだけに責任が絞られ、開発チームのリソースを開発に集中できます。
クラウド全体とオンプレミスの責任範囲の違いをより深く知りたい場合は オンプレミスとクラウドの違いとは?5つの判断基準で最適なシステムを選ぶ方法 を参考にしてください。
AWS/Azure/GCP別 SaaS・PaaS・IaaS 代表サービス早見表

「3つの違いは分かったが、具体的なサービス名で見たい」という方向けに、3大クラウド(AWS/Microsoft Azure/Google Cloud)の代表サービスを早見表にまとめます。各クラウドの公式ドキュメント・サービス分類に基づく整理です。
| クラウド | IaaS(インフラ) | PaaS(プラットフォーム) | SaaS(完成ソフト) |
|---|---|---|---|
| AWS | EC2、S3、VPC、EBS | Elastic Beanstalk、AWS Lambda、App Runner | Amazon WorkSpaces、Amazon Connect |
| Microsoft Azure | Virtual Machines、Blob Storage、Virtual Network | Azure App Service、Azure Functions、Azure SQL Database | Microsoft 365、Dynamics 365 |
| Google Cloud | Compute Engine、Cloud Storage、VPC | App Engine、Cloud Run、Cloud Functions | Google Workspace |
よくある質問:Salesforceは「SaaS」と「PaaS」のどちら?
Salesforceは SaaSが基本 で、CRM/SFAなど完成された業務アプリケーションをそのまま使えます。一方で Salesforce Platform(旧Force.com) を使って独自アプリを開発する場合は、 PaaS として利用していることになります。同じベンダーのサービスでも、「完成品を使う」か「土台として開発する」かで分類が変わる点に注意してください。
AWS Lambdaは「FaaS」?それとも「PaaS」?
AWS LambdaやAzure Functions、Google Cloud Functionsはより細かくは FaaS(Function as a Service) と呼ばれますが、広義のPaaSの一種として扱われるのが一般的です。コードを書くだけで実行環境(OS・ランタイム)は事業者管理になるため、開発者が触る範囲はPaaSとほぼ同じです。
なお、3大クラウドの位置付け以前に「そもそもクラウド化すべきか」を判断したい場合は オンプレミスとクラウドのメリット・デメリット比較表|TCO計算と移行コスト判断の基準 で5年間のTCOシミュレーションを確認しておくと意思決定が早まります。
SaaS・PaaS・IaaSのメリット・デメリット比較
3モデルそれぞれの強み・弱みを「コスト/自由度/運用負荷/導入スピード」の4軸で比較します。選定時の判断材料として活用してください。
| 観点 | SaaS | PaaS | IaaS |
|---|---|---|---|
| 初期コスト | 低い | 中程度 | 中〜高 |
| カスタマイズ性 | 低い | 高い | 非常に高い |
| 運用負荷 | 低い(事業者がほぼ管理) | 中程度(アプリ管理のみ) | 高い(OS〜運用まで自社) |
| 導入スピード | 即日〜数日 | 1〜数週間 | 数週間〜数ヶ月 |
| 必要なスキル | 業務知識 | アプリ開発スキル | インフラ設計・運用スキル |
| 代表的なユースケース | 営業管理(Salesforce)、社内コミュニケーション(Slack) | Webアプリ開発、サーバーレス開発 | 大規模Webサービス基盤、独自要件のシステム |
SaaSは最速で導入できる反面、業務フローをツールに合わせる必要があります。IaaSは何でもできる代わりに、人的リソース・運用ノウハウが社内に必要です。PaaSはその中間で、「アプリ開発はしたいがインフラはやりたくない」企業に最適です。
失敗しないSaaS・PaaS・IaaS選定の3ステップ

自社に最適なモデルを選ぶには、 開発リソース → カスタマイズ要件 → 中長期コスト の順で評価するのが鉄則です。順番を間違えると「IaaSを選んだが運用しきれない」「SaaSにしたが業務要件を満たせない」といった失敗が起きます。
ステップ1:社内の開発リソースとインフラ運用ノウハウを棚卸しする
最初に確認すべきは、 自社にインフラエンジニア/SREがいるか です。OSパッチ適用や監視設計を担える人材がいなければ、IaaSの運用負荷は経営リスクになります。
- インフラ運用担当者が0〜1名 → SaaSまたはPaaS を第一候補に
- アプリ開発者は多いがインフラ運用は手薄 → PaaS で開発に集中
- インフラ・SRE体制が整っている → 要件に応じて IaaS も選択肢
ステップ2:必要なカスタマイズの深さを定義する
次に「業務フローをツールに合わせられるか/合わせたくないか」を判断します。標準機能で足りるならSaaS、ロジックを独自実装したいならPaaS、OS・ミドルウェアまで自由に選びたいならIaaSです。
- 一般的な業務(CRM、会計、グループウェア等) → SaaS
- 既存サービスに独自Webアプリを追加開発 → PaaS
- 特殊な要件(規制対応、レガシー連携、リアルタイム処理) → IaaS
ステップ3:中長期の運用コストとライセンス棚卸し計画を立てる
クラウドは 従量課金 が基本のため、リソースの過剰割当てやアカウントの放置がそのままコスト超過につながります。3年〜5年スパンでのTCO(総所有コスト)を見積もり、棚卸しの仕組みを最初から組み込みましょう。
- IaaS/PaaS → 月次でリソース使用量を監視し、未使用インスタンスは自動停止
- SaaS → 四半期ごとに利用者を棚卸し、休眠アカウントのライセンスを返却
- 共通 → ベンダーロックインを避けるため、データエクスポート可否を契約前に確認
実際の運用設計や棚卸しの実務手順は 【情シス向け】SaaS移行とシステムリプレイスを成功に導く管理ツールの選び方3つの基準 で具体例とともに解説しています。
国内クラウド市場の最新動向:2026年のIaaS/PaaS市場は約2兆4400億円
国内のIaaS/PaaS市場は急成長を続けています。ITRの2026年3月発表によると、 2026年度の国内IaaS/PaaSクラウド市場は約2兆4400億円 規模となり、3年後の2029年には約3兆7000億円へ拡大すると予測されています。出典:ITmedia NEWS「2026年の国内IaaS/PaaSクラウド市場は約2兆4400億円」
IDC Japanの調査でも、 国内パブリッククラウドサービス市場全体は2024〜2029年でCAGR約14.6% と、年率二桁の高成長を維持する見込みです。SaaSはMicrosoft 365やGoogle Workspaceに代表される業務SaaSが、PaaS/IaaSは生成AI基盤の需要が成長を牽引しています。
つまり、SaaS・PaaS・IaaSは「どれを選ぶか」ではなく 「どう組み合わせて使うか」 の時代に入っています。情シス担当者は3つのモデルを横断で扱える知識と、ベンダーロックインを避ける設計力が求められます。
SaaS・PaaS・IaaSの違いに関するよくある質問
SaaS・PaaS・IaaSの違いを一言で言うと?
SaaSは完成したソフト、PaaSはアプリ開発の土台、IaaSはサーバー・ネットワークなどのインフラ を提供するクラウドサービスです。住宅で例えると、SaaSは「家具付き完成住宅」、PaaSは「基礎と柱までできた注文住宅」、IaaSは「更地」に相当します。
Salesforceは SaaS と PaaS のどちらですか?
CRM/SFAなど完成された機能をそのまま使う場合は SaaS 、Salesforce Platform(旧Force.com)で独自アプリを開発する場合は PaaS として利用していることになります。同じベンダーでも使い方で分類が変わります。
AWS、Azure、Google Cloud は IaaS と PaaS のどちらですか?
3大クラウドは IaaS・PaaS・SaaSのすべてを提供するハイパースケーラー です。例えばAWSなら、EC2・S3はIaaS、Elastic Beanstalk・LambdaはPaaS、Amazon WorkSpacesはSaaSに分類されます。
SaaS・PaaS・IaaS は組み合わせて使えますか?
はい、組み合わせて使うのが一般的です。例えば、社内コミュニケーションはSaaS(Slack)、自社サービスのWebアプリはPaaS(AWS Elastic Beanstalk)、大規模なデータ基盤はIaaS(AWS EC2 + S3)といったハイブリッド利用が主流です。
セキュリティ対策はすべてクラウド事業者が行ってくれますか?
いいえ 。責任共有モデルにより、SaaSであっても データとアカウント権限の管理 は必ず利用者責任です。IaaSの場合はOSやミドルウェアのセキュリティパッチ適用も自社で行う必要があります。
DaaS(Desktop as a Service)も同じカテゴリですか?
DaaSは仮想デスクトップ環境を提供するサービスで、広義にはSaaSの一種として扱われます。代表例にAmazon WorkSpaces、Azure Virtual Desktopがあります。利用者から見ると「OS込みのデスクトップ環境」が提供されるため、責任範囲はSaaSに近い構造です。
まとめ:SaaS・PaaS・IaaSの違いを押さえて、自社最適な組み合わせを設計する
SaaS・PaaS・IaaSは「提供範囲」と「管理責任」が段階的に異なる3つのクラウドモデルです。本記事の要点を整理します。
- 3モデルの本質的な違い :SaaS(完成ソフト)/PaaS(開発土台)/IaaS(インフラ基盤)の順で、利用者の責任範囲とカスタマイズ自由度が広がる
- 責任共有モデル :SaaSでもデータとアカウント権限は必ず利用者責任。「クラウドだから安全」は誤解
- 3大クラウドの代表サービス :AWS/Azure/GCPはいずれもIaaS・PaaS・SaaSをフルラインで提供
- 選び方3ステップ :(1)開発リソースの棚卸し → (2)カスタマイズ要件の定義 → (3)中長期コストと棚卸し計画
- 市場動向 :2026年の国内IaaS/PaaS市場は約2兆4400億円、CAGR14.6%で急成長中
迷ったときは、 「自社が触りたい範囲はどこか」を最初に決め、そこから上は自社管理/下は事業者管理 という基準で逆算するのが最短ルートです。本記事の早見表と3ステップを参考に、自社に最適なクラウドの組み合わせを設計してください。

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伊藤翔太
大学卒業後、外資系IT企業にてSaaS製品の法人営業とカスタマーサクセスを経験。その後、国内のBtoBスタートアップに参画し、新規SaaS事業の立ち上げからグロースまでを牽引しました。現在はSaasラボの専属ライターとして、SaaS事業者に役立つ実践的な最新トレンドやノウハウを発信しています。
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